わたし達がその家を気に入ったもうひとつの理由が
かわいらしいお庭だった。
マンションの購入を考えていたわたし達は「庭」と言うものの想定が全く無く
せいぜい日当たりの良い広めのベランダくらいしか想い描いておらず
この広すぎず狭すぎないかわいらしい「お庭」をわたしは大変気に入ったのだった。
わたし達が家を買うべく住宅を見て回ってから家の引渡しまでに
たった1ヶ月と1週間足らずだった。
住宅購入に当たっては数ヶ月かけて慎重に選び購入するのが一般的らしく
この事は不動産の方々も銀行の方々もあまりのスピード購入に驚いているくらいだった。
家を購入してからも偶然に他のいろんな物件を目にする機会があったが、
わたし達は購入後1年近く経った今でも
やっぱりこの立地のこの家で良かったとつくづく思うのだ。
そして家を購入しその2ヵ月後に
わたしは子供の親権を取り戻した。
前夫が仕事で忙しく留守がちである事や
わたしが将来再婚するであろう人と持ち家に住んでいる事がわたしに有利に働き
極めつけは
「お母さんと暮らしたい。」と言う子供自身の強い意思だった。
そして調停の中であっさりと決着が着いたのだ。
親権を取り戻すまでには
不安が絶えずわたしは情緒不安定な状態で心労が続いた。
あまりの心労に「帯状疱疹」と言うお年寄りが罹る珍しい病気に罹ってしまい
高熱とひどい頭痛に数日寝込んでしまった事もあったが
彼の支えで何とか乗り切る事が出来た。
親権を取り戻した流れには
やはり彼の存在が大きく影響し、
彼の存在無くして子供との生活は有り得なかっただろう。
それは 子供の事だけではない。
今のわたしも存在し得なかっただろう。
人生の絶望の淵で抜け殻のように生きていたわたしと
母親に会えず寂しさに打ちひしがれていた子共の運命を
彼はここまで大きく変えてくれたのだ。
出逢った頃まだあどけない少年だった彼。
あの時の少年がわたしの人生をここまで幸福なものに変えてくれた。
あの時少年に出逢えた事 その少年に魅入られた事は
わたしにとって幸運な奇跡と言うより他無い。
そして今
彼はわたしにとって正に「神様」に等しい存在となった。
そして彼はもうすぐ更年期を迎えようとしていたわたしに
もうひとつの素敵な奇跡を起こしてくれた。
続く・・・
0コメント