出逢いから1年が過ぎた頃
彼は運転免許を取得し車を購入した。
そして初めて彼の運転でドライブにでかけた。
とても楽しく
あっと言う間に時間が過ぎてしまった。
彼の運転する車に乗せてもらい
わたしはとても感動していた。
彼が免許を取得した事で
わたしは彼が今までより大人に思えた。
今までずっとわたしが運転し彼は助手席だったので
どうしても我が子達と重なってしまう事があったからだ。
少年から青年 青年から大人の男へと
いつのまにか彼はわたしの中でレベルアップしていた。
母親が子供の成長を見守るように
わたしは彼のそのような成長が素直に嬉しかった。
以前からわたしは彼とは全く別な問題で精神をひどく病んでいた。
それは前夫との関係で出来た 深い深い心の傷だった。
だからその当時のわたしは彼の居ないところでは
意識しないと笑顔というものを全く作れなかった。
勤務中は平気なのだが
仕事から離れ一人の時のわたしは、
人の・・特に男性の視線が怖くて息を潜めるように生活していた。
前夫とは10年程連れ添ったが
そのほとんどを夫にいじめられ嫌がらせを受け続けたという有り得ない結婚生活だった。
それはわたしから自信を奪い 笑顔を奪い 心を奪い 自尊心をも奪い、
何もかも奪っていった。
そんな生活を長く続けたため 心の健康を取り戻すのは容易な事では無かった。
不思議と仕事中は全く問題無かった。
同僚の男性と同等に会話が出来たし
怖いと思ったことは1度も無い。
わたしの場合 仕事から離れた瞬間からが問題だった。
彼には前夫とのそのような出来事を話してはいなかった。
難しい大人の世界の問題を
二十歳の青年に聞いてもらおうとは思わなかったし、
前夫の話題など触れたくもなかったからだ。
本当に彼と前夫は同じ人間なのだろうか?
天と地よりも質の異なるこの2人が
同じ人間だとは わたしには到底思えなかった。
今でも彼に出逢えた事を
わたしは心から神に感謝したい。
続く・・・
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