そのホテルは直接部屋に入れるような仕組みになっており、
誰かとすれ違って気まずい思いをする事はなかった。
部屋はアジアンリゾート風なインテリアでとても綺麗だった。
今どきのこのような所はこんなに綺麗なんだーと
わたしはすっかり感心していた。
わたし達は2人共タバコを吸わないので、
タバコ臭いお店で食事するよりここの方が断然居心地が良く、
最初からここに来たら良かったなどと
わたしは安易に考えていた。
けれど彼はわたしとは少々違った思惑だったようだ。
とにかく当時のわたしは40も過ぎてると言うのに
男の性と言うものを全く理解していなかった。
性に対して非情にうとく
また自分にそのような魅力があるとは思いもよらず、
この事は後々若旦那君に散々教育される事となった。
その素敵な居心地のいい部屋で
ファミレス並みの美味しい食事を取り、
わたしはすっかり気が緩んでしまった。
そもそも彼が初デートと言うのが信じられず
その話題に集中した。
モデルのようなスタイルの良さに加え、
彼は世に言うイケメンだったからだ。
だって某イケメン俳優にそっくりなのだ。
185cmの長身 顔はイケメン俳優にそっくりとなれば
19年間彼女無しはどう考えても有り得ない。
けれど彼はとても謙虚に、
確かに今まで告白された事はあったけれど
自分は好きでは無かったので断ったと言った。
そしてわたしを真っすぐに見つめ言った。
「俺は年上の女性が好きなんです。」
わたしは動揺した。
自分がやましくて彼の目を見ることが出来ず うつむいた。
早く年齢の事を言わなきゃ・・・
わたしはもうあなたの母親の年齢なのだと伝えなきゃ・・・
わたしが動揺している間に彼に優しくハグされ
わたし達は抱き合い
そして結ばれた。
わたしにとってそれは成り行きだったけれど、
彼はこうなる事を望んでいたし
初めての人がチョコミントさんで良かったと言ってくれた。
結局年齢の事は 最後まで言えなかった。
彼を落胆させるのが怖くて・・・
初体験の相手が40過ぎのオバサンだったと知ったら、
彼があまりにもかわいそうだと思った。
わたしはこのままフェイドアウトして
彼の前からそっと消えていこう・・・
わたしはそう決心し
その日は彼と別れた。
続く・・・
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