【11/30、一部加筆・修正しました。】
若旦那君は息をのむようにして
わたしの話に聞き入っていた
わたしはかまわずに話し続けた
その当時の生活を
リアルに思い出し
どういう世界なのか
具体的に話した
天国と地獄を
行ったり来たりの生活や
そのときの心情について。
そういう人達は
どこかのコミュニティーに固まって
暮らしているわけじゃなくて
普通にそこら辺のマンションに
普通の人達に混じって
生活してるんだよ
同じマンションの住人に会えば
普通に挨拶を交わしてた
普通の人達に溶け込んで
普通に暮らしてたんだ
今思えば
よくあんな生活してたと思う・・・
その闇社会の人と出逢う前に
わたしはSと言う人と付き合ってたの
付き合ってしばらくしてから
そのSに突然言われたんだ
実は結婚してるんだって・・・
その時わたしは
ベッキーと全く同じ立場になっちゃった
それでSとはいろいろあって
別れようとしたけど
別れる事が出来なかった
わたしの問題じゃなく
Sの問題で・・・
Sは奥さんと別れたがっていて
だからわたしにしがみついてた
でもSは外国人で
自分の家族はみんな祖国を離れ
オーストラリアに居るから
自分は帰る家が無い
離婚すると日本国籍を失うから
わたしに結婚してと言うの
わたしはすごく困った
話が重すぎてね・・・
そうしているうちに
生理がこなくて
わたし妊娠しちゃったんだ
でもそんな事情で産む事は出来なくて
だから
悲しい選択をせざるを得なかったの
わたしはその事で
ずっと自分に罰を与えてたんだと思う
ひとつも自分を大事に思えなくて
でもだからって
弱い立場のSを責める事もしなかった
全部自分の責任で
その後ようやくSとは別れたんだけど
生む事が出来なかった自分に
ずっと罰を与える人生を
選んできたんだと思う・・・
そのあとに知り合ったのが
闇の世界に生きてる人だった
こうして話してみると
1回目の結婚から
ずっとありえない苦難の連続で
わたしの人生は
ずっとろくでもない男に捕まって
ゴミ人生だった
だからもう前夫に絶望した時には
本当に死にたかったんだ
若旦那君に見付けてもらってなければ
ゴミだったんだよわたし・・・涙
話しながら
わたしはもう自分が惨めで
惨め過ぎて
いかに馬鹿だったのか
自分を思い知った
そして若旦那君に
わたし馬鹿でごめんね、と言った
すると若旦那君は
目をキラキラさせてこう言った
『だからチョコは人に対して慈悲深いんだね
その慈悲がどこからくるのか
ずっと不思議だったんだ・・・
おれ、どうしてチョコにこんなに惚れたのか
理由が分かったよ
その体験はゴミどころか宝だよ
生きてるうちにそんな体験出来る人
そうそう居ないよ
そんな中で生きてきたのに
相手を恨むこともしないで
ずっと自分を責めてきたんでしょ
ほんとに心が純粋なんだよ
尊敬するよ
おれ、惚れなおした・・・』
若旦那君の意外な言葉の意味が
その時のわたしには
まだ理解出来なかった。
次回に続きます。
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